トピックス
同志社大学新島塾「合宿で鍛える知的基礎体力」 ~2日目~
2日目の午前は、1日目に引き続き、佐藤優先生と西村尚芳先生による講義でした。
【1日目の様子はコチラ】

はじめに、佐藤優先生から昨日の課題の講評と学習のアドバイスをいただきました。学力は合理的計画と集中力と学習時間に左右されるものであり、まずは平日3時間・休日5時間机に向かう習慣をつけることが大切であること、本は読むだけではなく内容について人と議論しなければならないことを教えてくださいました。
また、前日の課題の1つ目「対立・分断する世界を修復するためにあなたに何ができると考えるか。」に関しては「共に知る」ことで解決すると単純に考えるのではなく、歴史的に考えるようにとのご指摘がありました。朝鮮と日本の関係においては「共に知ろうとしない」ことでうまくいったケースもあるのだというお話がありました。
他にも多くの学習アドバイスや基礎知識の解説があり、塾生は一生懸命メモを取って聞き逃すまいと集中して指導を受けました。


西村先生からは検察庁の疲弊と検察官としての正義についてお話がありました。
検察官の不祥事が相次ぐ中、被疑者の黙秘に対して暴言を吐く検察官の言動に対して、西村先生は暴言や被害者への侮辱に対しては厳しく対応すべきだが、黙秘権の行使に怒るのは違うというお話をされました。また、検察官としての正義に関しては、「執行機関である検察が正義を持つ必要はない。法を確実に執行することが職務であるため、自ら正義を振りかざすといった恣意性があってはならない。」とおっしゃっていました。
午後は、引き続き西村先生と佐藤先生に加えて作家の北原みのり先生も参加され、塾生の質問にお答えいただきました。塾生からは質問がたくさんあり、特に佐藤先生と西村先生のご関係に関連して人との接し方についての質問が多く出ました。先生方はその一つ一つに対して、これまでのご経験を踏まえて丁寧に回答してくださいました。
このうちの1つに「不快を伝えると『あなたの感情でしょう』と言われて論理から外されることがある。そのようなことにはどう対応すれば良いか。」という質問がありました。それに対して西村先生は「職場等で感じた素朴な不安や違和感を抑える必要はなく、感じ続けることが重要だ。」とおっしゃいました。
北原先生は、ご自身が感じられた不安を言語化するためにフェミニズムの理論を学んだことを話してくださいました。一方佐藤先生からは、そもそも「不快」と感じる理由によって対応が変わるという内容のご指摘がありました。

2日目最後の一コマは、北原みのり先生による「多様性とフェミニズム」の講義でした。北原先生は女性のポジティブな性の発信への興味、そして「女性の自由と安全が両立する社会を作りたい」という思いからセックストイショップ「ラブピースクラブ」の運営を始められました。また作家として活動されており、佐藤優先生との共著『性と国家』(河出書房新社、2016年)は本合宿の課題図書にもなっています。
講義ではご自身の経歴に加え、フェミニズムの歴史や女性による犯罪、性暴力、そしてジェンダーの議論についてお話をしていただきました。ジェンダーに関しては、例えば女子トイレの使用を求めるトランスジェンダーの方を擁護する主張が強まることで「一緒にトイレを使うことが怖い」という女性の声が差別とされてかき消されるなどという、近年の「被害者の声を絶対にする」風潮へ懸念についてお話がありました。女子トイレにおける女性の安全とトランスジェンダーの権利の衝突については、塾生もグループごとに意見交換を行いました。


その後、佐藤優先生も参加された質疑応答では、差別の位置付け、そして教育現場やサブカルチャーという身近なところでの性暴力について質疑応答が盛んに行われました。
今日の課題は「北原先生、西村先生とたくさん話すこと」です。普段お会いできない方々と直接お話する機会をいただけることこそ、合宿の醍醐味です。塾生は、夕食中も夜の自由時間も先生方を囲み、それぞれが熱く楽しく議論を交わしました。
(事務局・高等研究教育院事務室)
今回のトピックスは、以下の塾生が作成しました。
新島塾チューター 中塚さん(法学部)
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