トピックス
同志社大学新島塾「合宿で鍛える知的基礎体力」 ~1日目~
新島塾の合宿「合宿で鍛える知的基礎体力」が9月4日から7日までの4日間、同志社びわこリトリートセンターで行われました。
この合宿には塾生の他、10名の学部1年次生が体験参加学生として参加しました。
今回の合宿は「正義と良心 ―対立・分断する世界の中で―」をテーマとして、国際情勢が大きく変化し、複数の正義により対立・分断された世界を日々目の当たりにする中で、「正義とはなにか」ということを考えます。

合宿1日目は、合宿全体のテーマでもある「正義と良心 対立・分断する世界の中で」というテーマで、新島塾塾長である小原克博学長によるセッションから始まりました。
最初は、ヴォルムス帝国議会(1521年)でのルターの発言などから「良心」について考え、私たちが普段使う「良心」とは意味が異なることを確認しました。
日本語における「良心」は、性善説を唱えた孟子などの儒教思想の影響を受けています。一方で、西洋における「良心」は英語でconscience、ラテン語でconscientia=con(共に)+scire(知る)という意味です。
それでは、誰と共に知るのでしょうか。それは自己と知り、他者と知り、神と共に知るということになります。


正義は多元的であり、競合・衝突するものです。そのような時、良心は正義の硬直化や暴走を防ぐ力、「対立する価値をとりなす力」となる可能性があります。そのためには、良心を深く理解し、実践する必要があります。
これを智徳併行と呼び、新島襄先生が重視した考えでもありました。
1日目の後半は、同志社大学特別顧問(東京担当)、作家、元外交官である佐藤優先生と、元東京地方検察庁特捜部副部長である西村尚芳先生により、「良心が陥る罠 正義が持つ揺らぎ」というテーマでセッションが行われました。2002年、鈴木宗男衆院議員(当時。元北海道・沖縄開発庁長官)を巡る事件に絡み、佐藤優先生は東京地検特捜部に逮捕されました。そこで取り調べを担当した検事が西村尚芳先生です。当時のことを振り返りつつセッションは進みました。
西村先生は田中一弘『「良心」から企業統治を考える』(東洋経済新報社、2014年)をもとに、良心を「善を志向する心」「利他心」と定義づけます。そして良心と関連する内なる規範は「勘」であり、西村先生のこれまでの経験においても「直観」が果たす役割は大きいというお話がありました。人は自利心だけではなく、良心や規範をもとに自己決定をするというのが参考図書の結論といえます。
その後は、実際に起きた事件を取り上げ、良心が敗北・鈍磨・偏狭する様子を学びました。その一つとして、リーマン・ブラザーズから総額371億円にのぼる金をだまし取った詐欺が紹介されました。詐欺集団のみならず、あらゆる関係者の良心が欠けていたことが指摘され、敗北する良心を知る好事例でした。

セッション終了後、塾生たちにはレポート課題が課されました。
課題は、
1. 小原克博学長の講義を聞いて、対立・分断する世界を修復するために、あなたに何ができると考えるかを400字以内で説明せよ。
2.① 西村尚芳先生の講義を聞いて、印象に残った話題を一つ取り上げ400字以内でまとめよ。
2.② ①を取り上げた理由を200字以内で説明せよ。
というものでした。
課題について、時には塾生間で相談したり先生方の助言やアドバイスを得たりしながら、取り組みました。

夜にはラウンジで塾長、佐藤先生と歓談する場がありました。将来や夢、就職活動など思い思いに語り合いました。学部や学年の異なる塾生間で交流を深める様子は合宿の醍醐味のひとつです。この光景は夜遅くまで続きました。
(事務局・高等研究教育院事務室)
今回のトピックスは、以下の塾生が作成しました。
新島塾チューター 角名さん(経済学部)
関連情報 |
VISION2025 新島塾特設サイト 新島塾の詳細はこちらからご覧ください。 |
---|
お問い合わせ |
高等研究教育院事務室 TEL:075-251-3259
|
---|