トピックス
【新島塾】 塾生企画 「読書から始まる知の探究」 ~畑本先生セッション~
12月15日、1月19日、1月26日、2月16日の計4回にわたり、「学生の経済格差」というテーマで塾生企画のセッションを行いました。
このセッションでは、「学生の経済格差」を切り口として、ディスカッション・読書を通じた学習を行いました。
第1回目のセッションにおいては、各塾生が「格差」について考えていることをテーマにディスカッションを行いました。その中で、現在多くの学生が「借金」として借りている日本学生支援機構 貸与奨学金について話題が挙がりました。塾生の一人は、出身家庭によって奨学金という名の大きな借金を背負うかどうかが決まってしまうことを問題として提起しました。大学に行くために「借金」を背負わなければならず、それが「自己責任」とされてしまう現状に疑問を抱く塾生は少なくありませんでした。
この議論を通して、格差と自己責任論は紙一重の関係にあるということを感じました。そこで第2回以降は、課題図書である『自己責任の時代 その先に構想する、支え合う福祉国家』(ヤシャ・モンク著)を読み進め、塾生と畑本先生(政策学部)を交えてその内容をもとにディスカッションを行うことになりました。
第2回目までの課題は課題図書を読み、畑本先生へ投げかけたい質問を考えてくることでした。
第2回目のセッションはZOOMで行い、塾生は『自己責任の時代』の内容について畑本先生へ質問しました。本書は、今年度の合宿で学習したジョン・ロールズの『正義論』にも言及があります。そこで塾生からは、「正義」という分野の中でロールズがどのように位置づけられているのかという質問が挙がりました。畑本先生の解説から、正義について論じる際の原点になるのがロールズであることがわかりました。
また、『自己責任の時代』を理解するためには、世界における福祉国家新自由主義の流れを押さえる必要があります。
第3回目までの課題は、以下の3つでした。
①『自己責任の時代』の4、5章を読み直し、担当者はその要約を作成すること。
②「肯定的責任論」と「懲罰的責任論」を自分の言葉で説明できるようにすること。
③これまでの学習内容を踏まえ、自分が扱うテーマ(格差や奨学金など)を決め、そのテーマについてある程度話せるよう準備しておくこと。
第3回目のセッションもZOOMで行いました。今回は、4章と5章の要約をもとに、『自己責任の時代』の要点を改めて確認しました。理論書では、既存の考えを取り上げ、その問題点を指摘し、どのように改善すべきかを論じるという型があることも学びました。その後、塾生それぞれが取り上げたいテーマについて全体で共有しました。
第4回目までの課題は、先生からフィードバックを受けられる程度に論文・レポートのテーマを整理しておくことでした。
最後の第4回目のセッションでは、今まで学習してきたヤシャ・モンクの『肯定的責任像』を踏まえ、社会における「自己責任論」について、塾生それぞれが興味をもったテーマをもとにディスカッションしました。
具体的には、「医学部の地域枠問題」、「反出生主義」、「貸与奨学金」、「文化資本の格差」、「親の責任範囲」といった問題について議論しました。特に、「反出生主義」や「親は子に対してどこまで責任をもつべきか」は、先生と塾生の間でも意見が大きく分かれ、活発な議論となりました。
しかし、議論の中で一致していたことは、ヤシャ・モンクの述べる『肯定的責任像』のように、他者を責任のある存在とみなすことの大切さ、そして「自己責任」という言葉の下で、『懲罰的責任像』のように他者の選択に対し必要以上に懲罰を与えることの危険性の認識でした。
「自己責任」という言葉が多く広がっている時代のなかで、様々な境遇に生まれた人々がどのようにすれば、幸せに共生できる社会が実現できるだろうか。そのような問いを深く考えさせられるセッションとなりました。
(事務局・高等研究教育院事務室)
今回のトピックスは、以下の塾生が作成しました。
新島塾第7期生 山野さん(心理学部)
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高等研究教育院事務室 TEL:075-251-3259
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