トピックス
同志社大学新島塾「合宿で鍛える知的基礎体力」 ~4日目~
4日目(最終日)は、礼拝からはじまりました。神学部の木谷佳楠先生が「真の友を得ようとするなら」という題で説教を行いました。
【3日目の様子はコチラ】

礼拝の後の講義は午前と午後に分かれて、午前に文化情報学部の宿久洋先生が「科学における正義と良心 —統計学の光と影—」という題で講義を行いました。課題図書は、スティーヴン・J・グールド『人間の測りまちがい 上 差別の科学史』(河出書房新社)と『人間の測りまちがい 下 差別の科学史』(河出書房新社)でした。
午後は、木谷先生が「アメリカ映画とキリスト教」という題で講義を行い、質疑応答の後に佐藤優先生がジョン・ロールズの正義論について総括を行いました。
最後には、小原塾長とコーディネーターの後藤先生と塾生の間で今後の新島塾のあり方について活発な議論が行われました。


宿久先生は「正義と良心」というテーマに沿って、これまでの社会でどのようにデータが誤って活用されてきたのかという事例を紹介しました。そして、「使える道具をきちんと使って自分でストーリーを作れるか」という科学リテラシーの重要性を指摘し、リテラシーのレベルを向上させ、判断できるようにするということが宿久先生にとっての社会正義であると話しました。
木谷先生は、研究されている「アメリカ映画とキリスト教」について説明しました。木谷先生と登壇した佐藤先生は、映画という表象文化を用いて学ぶことが重要だと話しました。アメリカ映画における自己犠牲的なヒーローのモデルはイエスであることや、必ず救いがもたらされることなどを例に挙げ、検閲時代以来のキリスト教を基にした価値観について説明しました。

佐藤先生は、数か月前から塾生とともに輪読し学習を重ねてきたジョン・ロールズの『正義論』について総括を行いました。
冒頭で塾生に対して、「『正義論』の意義と限界」について考える課題を与えました。塾生はグループで議論を行った上で全体に発表し、佐藤先生は塾生が出す意見に対して耳を傾け、助言をしました。各グループからは次のような意見が出ました。
「『正義論』の意義」については、功利主義から離れ視線が弱者に向けられたことや、神という外装的なものを排除したことが意義であるといった意見が出ました。また「『正義論』の限界」については、合理的な人間のみを前提としており、良い人間だけで社会が成立しているとしたことが限界であるという意見が出ました。
佐藤先生は、『正義論』について、アメリカの知識人の標準理論になっていることから学ぶ必要があると指摘しました。



(事務局・高等研究教育院事務室)
今回のトピックスは、以下の塾生が作成しました。
新島塾チューター 宮本さん(法学部)
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