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【新島塾】「読書から始まる知の探究」小山先生セッション_第6回活動
2025年6月21日(土)小山隆教授(社会学部)による「読書から始まる知の探究」第6回セッションが行われました。
本セッションでは、第1講時目に前回までの振り返りと発表に加え、目的地で「何を学びたいか」について班ごとにディスカッションを行いました。 振り返りでは、「目的地に何があるのか」「班の目標とどのようにマッチしているのか」「研究だけで終わらせないための工夫」といった点について、各自が作成してきた資料をもとに再確認しました。

特に、「研究だけで終わらせないための工夫」については、深い議論が交わされました。例えば、自分たちのフィールドワークが今後の学びにどのような影響を与えるのかについて意見を出し合う場面も見られました。
小山先生は、「今回のフィールドワークが単なる調べ学習にとどまらず、目的地で得た学びを今後どのように活かしていくかが重要である」と、塾生全員に強調されていました。こうした視点を意識しながら、塾生たちは各自が持ち寄った考えをもとに議論を深め、多角的に捉える姿勢を養い、目的への理解をより深めることができました。
その後、自分たちが目的地で「何を学ぶか」についてディスカッションを行い、発表の準備に取り組みました。発表では、「調べ学習で得たこと」「目的地で何を学ぶか」「課題図書」の三点について各班が発表を行いました。

まず、自然班は、福島県の自然環境と地形的特徴について発表しました。福島県は豊かな自然を有している一方で、原発事故を契機に、環境保全と人間の共生のあり方が改めて問われた地域でもあります。火山や湖沼などの自然環境を通して、持続可能な地域社会と環境保全の両立に取り組む現状について調査を行う予定です。課題図書としては、『火山の基本』や『エネルギー』などのテーマを軸に選定しています。
次に、不登校支援班は、「現在の不登校支援は適切か」という視点から調査を進めています。特に、不登校の原因が十分に解決されていない現状やその課題について発表していました。目的地での学びを通して、この問いに対する自分たちなりの答えを見出すことを目標としています。課題図書としては、『不登校支援』に関連する文献を中心に検討しています。
第2講時目は、産業班、福祉・教育班、原発班の3班が進捗報告を行いました。各班は、それぞれのテーマに基づき、訪問先の選定や調査設計、課題図書の決定を進めており、フィールドワーク本番に向けた具体的な準備が着実に進んでいます。
まず産業班は、会津若松市におけるスマートシティの実装と市民の実感のギャップを主な論点として設定しました。政府が提唱するSociety5.0やスマートシティの定義に関する文献調査に加え、トロントや豊能町のような課題が残る事例の考察を通じて、単なる技術導入にとどまらず、住民の理解と協力の重要性を確認しています。今後のフィールド調査では、会津若松市の地元住民を対象に、ITリテラシーとデジタルサービスの主観的実感に関するアンケートとインタビューを実施予定です。

福祉・教育班は、原発事故がもたらした精神的影響とそのケアの現状をテーマに調査を進めています。訪問先候補には、コミュタン福島(震災・原発事故に関する展示施設)、ふくしま心のケアセンター(専門職によるメンタルヘルス支援を行う機関)、福島県立医科大学を挙げました。課題図書には、前田正治編著『福島原発事故がもたらしたもの』を選定し、原発事故の精神的影響を多角的に理解するための理論的基盤と位置づけています。
原発班は、原発事故後の地域復興と大学・研究者の関わりを調査の軸としています。現在、福島大学地域未来デザインセンターの藤室玲治特任准教授へのインタビューを予定しており、災害後の地域支援やコミュニティ形成についての専門的な知見を得ることを目指しています。現時点では、課題図書の選定および研究テーマの再構築を進めており、「原発」そのものに加え、「復興」に焦点を当てた研究体制への移行も視野に入れています。各班とも、文献調査・仮説構築・調査設計の面で進展が見られ、フィールドワークに向けた準備が整いつつあります。
次回は、訪問先との調整状況やアンケートの具体的設計など、調査実行フェーズに関する報告を予定しています。
(事務局・高等研究教育院事務室)
今回のトピックスは、以下の塾生が作成しました。
新島塾第6期塾生 大石さん(社会学部)
新島塾第6期塾生 西浦さん(商学部)
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