トピックス
【新島塾】「読書から始まる知の探究」垣見先生セッション_第4回活動
5月25日(土) 3・4講時に垣見修司教授(文学部)の「読書から始まる知の研究」第4回学習が行われました。
今回のセッションでは、ゴールデンウィーク中の課題であった、「各自が住む地域と万葉集との関わり」についての報告会を行いました。
3限目に行われた報告会では、十人十色の報告内容でした。地元に帰省した際にフィールドワークを行った塾生や旅行と並行してフィールドワークを行った塾生、万葉植物の観点からフィールドワークを行った塾生など人それぞれで非常に興味深い報告会でした。また、塾生によっては報告のためのスライドショーを準備したり、自身のフィールドワークを動画にまとめて発表したりと、工夫して発表していたのも印象に残っています。さらに、個別の持ち時間は3分と設定されていましたが、全員その3分間を目一杯使って他の塾生に伝えるところからも塾生それぞれが強い熱量を持ってこの課題に取り組んだことが伝わってきました。いくつかの発表は課題で扱った場所が被ってしまいましたが、場所が同じでも人によって捉え方や感じ方が異なっており、万葉集の奥深さや土地と風景を味わう面白さを感じることができました。
4限目には、グループに分かれて各自が調べた内容をもとに、以下のテーマについて、議論を交わしました。
② 印象に残っている言葉はあるか
③ 万葉びとと共感できる部分、異なる部分
④ 地域の文化的アイデンティティとは
⑤ 文学は社会課題解決のヒントになるのか
以下に、各テーマの議論で出た意見の一部を紹介します。
①「歌を、体験を通してより深く理解できたか」のテーマで出た意見
フィールドワークに行く前と後では、理解に大きな差ができた。その理由は、フィールドワークに行く前は「万葉集の歌」を単なる歌として学習していたが、実際に現地に行ったことで、その歌が詠まれた風景、心情や詠まれた意味を体感することができたからだと考える。
②「印象に残っている言葉はあるか」のテーマで出た意見
塾生自身が選んだ歌で詠まれている言葉の意味を調べ、理解することにより、現代との繋がりや、他の歌との関係性を学ぶことができる点が印象的。歌の関係性とは、例えば「馬酔木」が含まれている歌は共通して、植物や人の心情を歌っている点など
③「万葉びとと共感できる部分、異なる部分」のテーマで出た意見
見ている景色は万葉の時代も現代も変わらず、感じることは一緒だが、表現する手段が変わっただけなのではないか。現代はLINE や SNS に投稿できるのに対し、昔は歌で共感を得ようとしたのではないかと考える。
④「地域の文化的アイデンティティ」のテーマで出た意見
日本は多神教の国であるため、信仰心を失いやすい傾向にあるのではないか。また、多神教だからこそ争いを避けることができるため、その点は日本人の良さかもしれない。島国で様々な情報を吸収してきたからこそ日本は発展したと考える。
⑤「文学は社会課題解決のヒントになるのか」のテーマで出た意見
自分自身が住んでいる地域が舞台になった文学を学校で学ぶことで、地域の関心や愛着が深まるのではないか。そのことにより、働き手の高齢化が進む林業など、第1次産業の保全に繋がるかもしれない。
次回は6月1〜2日(土・日)に、万葉集と深い繋がりのある富山県で、1泊2日の臨地研修を実施します。
富山県と万葉集の関係性を現地で学べる貴重な機会をとても楽しみにしています。
(事務局・高等研究教育院事務室)
今回のトピックスは、以下の塾生が作成しました。
新島塾第期塾6期生 大石さん(社会学部)
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