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トピックス

【新島塾】「読書から始まる知の探究」小山先生 ~福島FW~  ■エネルギー班■

2025年10月21日 更新

2025年9月17日(水)~19日(金)に小山隆教授(社会学部 社会福祉学科)による「読書から始まる知の探求」の福島県におけるフィールドワークが行なわれ、エネルギー班は郡山市役所、新協地水株式会社を訪問し、福島イノベーションツアーに参加しました。

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エネルギー班

1日目

 福島県郡山市を訪れ、郡山市役所と、新協地水株式会社を訪問しました。

 郡山市役所では環境政策課と産業雇用政策課の方にご対応いただき、環境政策課の方から郡山市次世代エネルギーパーク の概要や現状、今後の展望に関するお話を、産業雇用政策課の方からこおりやまCO2見える化チャレンジに関するお話を伺いました。
 職員の方からは市の取り組みについての動画を見せていただきながら詳しい解説をいただき、エネルギーパークに認定された施設の中には冨久山クリーンセンターのような小学生がタッチパネル等を用いてエネルギーについての理解を深められるような体験型施設があることや、猪苗代湖の落差を利用した水力発電、布引風力発電所のように地の利を活かす発電が行なわれていることなど、取り組みに関する理解をより深められました。
 こおりやまCO2見える化チャレンジに関しては中小企業に向けた脱炭素経営支援の取り組みに関する展望を伺うことが出来ました。

 その後、同じく郡山市内に位置する新協地水株式会社を訪問し、社員の方から同社の取り組みや展望等のお話を伺いました。同社は地質や地盤調査を主に取り扱われている会社であり、東北地方で初めてZEBを達成されました。ZEBは省エネルギーと創エネルギーを組み合わせることによって消費エネルギーを正味でゼロにする建物を意味しています。
 同社は地中熱(省エネ)と地熱(創エネ)を組み合わせることでZEBを達成されましたが、このように地中熱を用いてZEBを達成された会社が同社だけであるというお話が非常に印象深かったです。また同社が再生可能エネルギーを利用する方針へと転換した契機として東日本大震災があり、震災を機に社会の持続について考える機会に直面したことが影響しているというお話をされており、震災の社会に対する多大な影響について改めて実感しました。その後に社員の方に案内をしていただきながら施設見学を行ないました。

 見学を通じて屋内施設における断熱効果のある木材の使用や複層ガラスの使用など社内における省エネの工夫や屋外の省エネ、創エネ技術について間近で見て学ぶことが出来ました。

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郡山市次世代エネルギーパーク・・・郡山市全体を一つのエネルギーパークに見立て、市内施設との連携を通じて市民の理解を得ながら次世代エネルギーの導入を促進しようという計画のこと。郡山市では太陽光発電・水力発電・地中熱発電・バイオマス発電等を合わせて10箇所の施設が登録されている。


2日目

 地方創生班と合同で福島交通の運営されている福島イノベツーリズムに参加しました。

 本ツアーではまず、大熊町ふるさと再興メガソーラーを見学しました。この施設ではソーラーパネルを用いた太陽光発電を行なっており、当日は福島発電株式会社の方に解説をいただきました。職員の方からは運用状況や震災との関係、課題等のお話があり、特に課題としては盗難が挙げられ、盗まれることによって保険代が高くなるという懸念があると仰っていました。震災との関係について、当施設の置かれている大熊町は震災の影響によって人口が流出し、現在でも帰還する人口が少ないとのお話があり、震災による市民・自治体への影響について考えさせられました。運用状況については費用対効果の観点で見ると当初は黒字であったものの現在は赤字であり、売電のために赤字経営が続いているという現状があり、当施設が置かれている現状に関するお話が強く印象に残りました。

その後、東京電力廃炉資料館に訪問し、職員の方に施設内を案内していただきながら学習をしました。当館では原発事故が起こった経緯やその影響についての映像や資料を通じて、原発事故に対しての東京電力の姿勢や今後の方針を感じ取ることが出来ました。例えば館内資料には事故が発生した背後要因についての客観的で緻密な分析が見られ、各所にも被害を踏まえた反省と教訓が見受けられました。これらから福島第一原子力発電事故が未然に防げた事故であり、もう二度と起こしてはならないという意識のもとで東京電力による改革が徹底して行なわれているという点を学び取ることが出来ました。

 塾生は今回のフィールドワークでの学びを元に、10月18日(土)に行なわれる成果報告会に向けて準備を行ないます。今回の学習に際して質問にお答え頂いた皆様、施設等の案内をしていただいた皆様には大変真摯で温かい対応をいただき、実りある学習をすることが出来ました。改めて心より感謝申し上げます。

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 次に、福島ロボットテストフィールドを訪問しました。福島イノベーション・コースト構想に基づき整備されたこの施設は、陸・海・空のフィールドロボットの研究開発、実証試験、性能評価を行うことができる世界に類を見ない一大研究開発拠点です。施設到着後、まず当施設の取り組みに関するPR動画を視聴し、設立の経緯や現在進行中のプロジェクトについて概要を把握しました。その後、研究棟の屋上に上がり、広大な敷地に配置された各エリアを実際に目で確認しながら、担当者の方から詳しい解説を伺いました。ドローンの飛行試験エリア、災害対応ロボットの訓練施設、水中ロボットの実証試験用プールなど、用途別に整備された施設群を一望でき、その規模の大きさに圧倒されました。さらに、研究棟内では企業や大学の研究者が実際に活動されている研究室を見学させていただき、最先端の技術開発の現場を肌で感じることができました。震災によって人が住めなくなった地域を大規模な実験場として有効活用されており、復興の一助となっていることを強く感じました。

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 続いて訪れたのは、楢葉遠隔技術開発センター(NARREC:ナレック)です。こちらはJAEA(日本原子力研究開発機構)の施設で、福島第一原子力発電所の廃炉推進のための遠隔操作機器の開発実証施設です。まず、施設の会議室でNARRECが現在行っている取り組みに関する説明を受けました。原発事故によって生じた燃料デブリを、高線量のため人が立ち入れない環境下でロボットを用いて取り出すという、世界でも前例のない挑戦についての詳しい説明でした。

 続いて、最も印象に残ったのがVR体験でした。レーザー測距装置で実際に取得した福島第一原子力発電所2号機の内部構造データを基に再現されたVR空間に入り、原子炉建屋内部を疑似的に探索しました。配管が複雑に入り組み、瓦礫が散乱する様子を360度見渡すことができ、ロボットを遠隔操作する作業員の方々がどれほど困難な環境で作業されているかを体感することができました。その後の実験場見学では、実際の原子炉建屋を模した試験施設内で、学生や企業の技術者が協力して廃炉用ロボットの動作試験を行っている様子を間近で拝見しました。階段の昇降や狭い隙間の通過など、実際の現場を想定した様々な課題に挑戦する姿が印象的でした。

 2025年4月には既に2回目の燃料デブリの取り出しに成功しており、現在他組織に分析を依頼しているそうです。推定800トンあるうちのわずか数グラムに過ぎませんが、その数グラムを分析し、デブリの性質を解明することが、今後の本格的なデブリ取り出しへの大きな一歩となるとおっしゃっていたのが印象的でした。


(事務局・高等研究教育院事務室)

今回のトピックスは、以下の塾生が作成しました。
新島塾第6期塾生 川本さん(文学部)
新島塾第6期塾生 西浦さん(商学部)



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TEL:075-251-3259
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