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トピックス

【新島塾】「読書から始まる知の探究」沖永良部島フィールドリサーチ3日目

2023年12月18日 更新

11月5日、沖永良部島フィールドリサーチもいよいよ最終日です。

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午前は、沖永良部島の島民の方をお招きして行う中間報告会の準備・発表リハーサルを行いました。塾生たちは、沖永良部島でのフィールドリサーチを通じて各々感じたことを5つにグループ分けしました。まずは、5つに編成したグループごとに発表で用いるポスターの完成に向けて取り組みました。その中で、人に見せることを意識して文字の大きさや太さ、レイアウトについても工夫を施しました。

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午後は「未来を思考する。」と題した中間発表会が行われました。この発表会は、フィールドリサーチと現地での学びを踏まえ、塾生たちが考える「未来」について発表するものです。これは、企画・運営・タイムスケジュール・当日の進行・事前広報にいたるまで、役割分担も含め塾生たちが自身で行います。「コミュニティ・世代間・暮らしと自然・閉鎖系のエネルギー課題・豊かさ」の5つの班に分かれ、ポスターを用いたグループ発表を行いました。5班ともにフィールドリサーチを通じて、事前学習の時に抱いたイメージとは考え方や見え方、捉え方が変化しました。以下に、各班の発表内容を紹介します。

【コミュニティ班】

•フィールドリサーチ以前の考え
「地元で大きな権力を持つ人がコミュニティ内でも大きな力を持ち、周囲の意見が通りにくいのではないか」などとあまり良いイメージを持っていませんでした。

•沖永良部島での学び
「移住してきた際に字の人たちに歩み寄り、頼り頼られる関係になった」「最小のコミュニティである家族でのコミュニケーションを大切にしている」などカナメファームの要様やうじじきれい団の皆様との出会いや発言を引き合いに出していました。島で見聞きした経験によってコミュニティに対する印象や考えが変わりました。

結論
皆がコミュニティに歩み寄ることは難しいかもしれないが、未来にもコミュニティは必要であると結論付けました。

【世代間班】

•フィールドリサーチ以前の考え
一部の人の主張が通りやすく若者の意見が通りにくいため、島外に出ていく若者が多いのではないかと考えていました。

•沖永良部島での学び
フィールドリサーチに現地で協力くださった方に事前アンケートを実施しました。その結果、キーワードとして次世代・幸せ・憧れ・夢・豊かさという言葉が挙がりました。中でも、多くの方から「子や孫が大人になった時に、笑顔あふれる島にしたい」と次世代のことを想う声が聞かれました。

結論
沖永良部島では、一人ひとりがリーダーとなってできることをそれぞれが行わっている。そのような多様な価値観を持つ人が集まってこそ変化が生まれ、未来が形作られると考えました。

【暮らしと自然班】

•フィールドリサーチ以前の考え
我々が生活する環境では実際に環境問題に触れることがほとんどありません。しかし、文献では沖永良部島の島民は自然環境に対する意識が高いとされており、日々自然と触れ合うことができる島民の方と我々との違いは何なのかと疑問を持っていました。

•沖永良部島での学び
うじじきれい団の皆様との対話から、楽しい気持ちが根底にあり環境保護活動に繋がっていることや、「自然に癒される」という感覚ではなく「自然を癒す」という気持ちが生まれ、ビーチクリーンを行っていることを知りました。沖永良部島では、暮らしを楽しむ中に、あたりまえに自然があると考えるようになりました。

結論
当たり前のように環境を守る島民には、自然を意識するアニミズムの精神が強く残っており、アニミズムを忘れかけている今こそ必要ではないかと考えました。

【閉鎖系のエネルギー課題斑】

•フィールドリサーチ以前の考え
石田秀輝先生の著書「危機の時代こそ心豊かに暮らしたい」で、電球が切れたときに電球を取り換えるのではなく、取り換えずにワクワク・ドキドキする方法を考えると記述されていました。そこに疑問を感じました。

•沖永良部島での学び
沖永良部島は、台風が多く送電線の破損や燃料の不足から停電になりやすい状況があります。しかし、島民の方は停電になることは仕方がないことだと受け入れていました。停電と向き合い、送電網についても把握しています。停電時は、電気が通じている地区から充電させてもらっていました。

結論
よりよい沖永良部島を後世につなぐために、制約を受け入れその中で持続可能なエネルギーの運用を考えておられました。我々も制約を受け入れて考えなければならない、それがバックキャスト思考であると学びました。

【豊かさ班】

•フィールドリサーチ以前の考え
心の豊かさとは「社会のために自身が我慢をするもの」で、物質の豊かさとは「自分の感情を殺さずに欲求を満たすもの」であると考えていました。

•沖永良部島での学び
カナメファームの要さんからは、「島のお店に行くのはサービスがいいからではなく、同じ字の人だから」と仰っていました。

結論
「心の豊かさ」とは必ずしも我慢することではなく、「人と人との関わり合いのことではないか」と気づくことができました。

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グループ発表の後、島民の参加者と塾生が車座になり「未来」をテーマに語り合いました。そこで「フィールドリサーチ後にどのような事を実践していくのか」という話題になりました。塾生からは「地元の祭りに参加し、地元の方と交流したい」「自分の住む町を愛するために、自分の街を知りたい」という声が聞かれました。さらに未来に目を向け、どう心豊かに暮らしていくのかを考えた際、島民の方から「いろいろなことにチャレンジし、自己満足を増やしたい」「考えたら次は行動してみることが大事。誰かの話にもあったが、祭りの運営などの現場にもっと参加するようになっていて欲しい」「自分で選んだコミュニティに飛び込んで楽しんで欲しい」などと激励の言葉を多くいただき、まずは自ら行動を起こすことの大切さを実感しました。

中間発表会の最後に、服部先生からお話をいただきました。服部先生からは「今回のフィールドリサーチでは自然の雄大さからどんなスケールで物事・社会を捉えるのかをまず感じました。また『未来を考える』上では、今後価値観が大きく変わるだろう。私たちがすぐにできることは、一人ひとりがリーダーとなるためのアクションを起こすことだ。と塾生の今後の行動への期待が述べられ、最後にこのフィールドリサーチに協力くださった方々への謝辞が述べられました。塾生たちからは「最初はなぜ沖永良部島に行くのだろうと疑問に思ったこともあった。しかし、参加してよかった。」「都会にはない自然に実際に触れる経験ができた。自分の価値観や考え方が変わった気がする。」等の声が聞かれました。

沖永良部島でのフィールドリサーチは、多くの方の協力を得てと無事終えることができました。京都では学ぶことができないことを五感で感じ取り、学ぶことができました。今後もこの学びを生かして、さらなる議論を進め「未来」を思考していきたいと思います。最後になりましたが、今回ご協力くださった沖永良部島のすべての皆様、服部先生、新島塾事務局に感謝申し上げます。

(事務局・高等研究教育院事務室)


今回のトピックスは、以下の塾生が作成しました。
新島塾第3期塾生・チューター 山本さん(生命医科学部)



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