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トピックス

【新島塾】「読書から始まる知の探究」沖永良部島フィールドリサーチ2日目

2023年12月18日 更新

沖永良部島フィールドリサーチは2日目を迎えました。

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塾生たちは朝早くから与和の浜(よわのはま)へと移動しました。うじじきれい団の皆様と一緒に朝6時からビーチクリーン活動を行いました。朝日が昇る中、ピンセットで直径5mm以下の小さなマイクロプラスチックの破片を集めたあと沖永良部の美しい海景を楽しみました。終了後、塾生は一人ずつ感想を述べました。「思っていたよりマイクロプラスチックの量が多かった。」「破片を集める作業が宝探しのようで楽しかった。」などといった感想が出ました。

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朝食後、カナメファーム代表 要秀人様のもとを訪れ「畜産による循環農業の実践」と題してお話を伺いました。要様は関西での会社員経験を経て沖永良部に移住し、畜産業を始めた方です。カナメファームでは、「従来、役目を終えた経産牛は安く売られていた。それを島内で食肉に育て、島内で循環できないか。」というテーマを掲げ黒毛和牛の経産牛肥育に取り組んでいます。島での肥育は島外からの飼料の輸送コストが高いという課題に対して、キクラゲの茎、サトウキビの搾りかすといった島内で従来廃棄されていたものを活用して餌(発酵飼料)を開発されました。それにより餌の輸送にかかるコストを削減しています。また、牛の堆肥を畑に還元することによって、無駄なものを省いて繋ぐ島内循環型農業の実現にも寄与しています。発酵飼料を実際に見せていただいたところ、味噌のような香りがしました。塾生からの「開業の際、大変なことはあったか、それをどう乗り越えたか」という質問に対し「大変なことはいっぱいあったが、島の人が助けてくれた。ただし、移住者はまず島の人からの信頼を得ることが大切。そのために集落の集まりには必ず参加するようにしていた。島民はいわば大きな家族のようなものだ。結び付きは強いし、助け合うのも当然だ。」と回答されました。ここから、都市部とは異なる沖永良部の地域コミュニティの姿が感じられました。

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その後、沖永良部観光協会へと移動し、デザイナーの中村理恵様から「デザインのチカラ」と題しお話を伺いました。中村様も島外から沖永良部に移住された方です。デザイン事務所「てげてげ屋」を立ち上げられました。「10年前はデザインという概念が沖永良部の皆さんに浸透していなかった。でも、現地に暮らし活動を続け、島の人と対話をしていく中でデザインというものを分かってもらえるようになった。」と話され、現在では島のゴミ収集ポスターや観光スポットのパンフレット、お土産品のパッケージなど、官民問わず様々な案件を手掛けておられます。中村様は「1年中海で遊んでいる。都会ではできないが島でできることはたくさんある。自分のためにやっていることが周囲に受け入れられて今に至っている。」とおっしゃいました。また、塾生からの「都会と沖永良部の暮らしにおいて、コミュニティの面で変わったことはあるか」という質問に対し、「島で暮らしていると近所づきあいをせざるを得ないので、相互に頼りあっている」と回答され、カナメファーム同様、ここにも島のコミュニティの姿が感じられました。さらに、「島の暮らしで物質的に不便さを感じることはないか」という質問に対して、「今は必要なものはネットショッピングで買うことができる。だから大型ショッピングモールはあまり必要ないと思うし、移住してみて都会には物が多すぎると気づいた。たまに都会に行っても数日でまた島に戻りたくなる。」と答えられ、移住前後の考えの変化について述べられました。

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その後、ホテル併設コミュニティスペース「entaku」へ移動し、運営されている一般社団法人ツギノバ 代表理事の大久保昌弘様よりお話を伺いました。ツギノバでは、官民共同のエリアマネジメント事業を展開しています。北海道利尻島に本社を置き、沖永良部島知名町を含めた離島を拠点としています。大久保様は「若い人が島の外に出ていくことは、仕方ない。知名町の課題として、その人たちがまちに戻ってきた時、ちゃんと戻って来られるようなまちにすることが必要だ」と述べられており、具体的には季節アルバイトを募集し、島での人員不足を補う事業や島外の事業者を入れて新たな仕事を創出できるようなサテライトオフィスの運営、子ども食堂の役割を持ったコミュニティスペース兼飲食店の営業などを行なっています。また、大久保様は「地域に暮らす人たちがずっとここにいたいと思えないところに、新しい人を呼んできてはいけない。つくって終わりではなく、地域の実情に合わせて編み続けることが必要だ」とおっしゃり、ここから大久保様のまちづくりに対する思いが感じられました。塾生からの「どのようにして地域の実情、変化に対応しているのか」という質問に対し、「なるべく長い時間、島の人たちと交流する時間を設けることが必要だ」と回答され、対話の重要性を説明していただきました。

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その後、これまでお話を伺った島民の方々と島の郷土料理を楽しみました。明日は、いよいよ島民の方々に向けてフィールドリサーチの報告会が開かれます。塾生たちは、ホテルに戻ってからも夜遅くまで議論やポスター作成を進め、報告会の準備に励んでいました。

(事務局・高等研究教育院事務室)


今回のトピックスは、以下の塾生が作成しました。
新島塾第3期塾生・チューター 野村さん(理工学部)



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