このページの本文へ移動
ページの先頭です
以下、ナビゲーションになります
以下、本文になります

【新島塾】「読書から始まる知の探究」 林田先生 富士山麓エクスカーション2

'23年7月4日 更新

新島塾「読書から始まる知の探究」 林田先生 富士山麓エクスカーション_2日目

 5月20日(土)から5月21日(日)に富士山麓において、林田明教授(理工学部)による「読書からはじまる知の探究」セッションの一環でフィールドエクスカーション(野外巡検)を行いました。
第2日目の21日は、山梨県富士山科学研究所において講義を受けた後、忍野八海、冨士浅間神社、鮎壺の滝を巡りました。

山梨県富士山科学研究所での講義
 山梨県富士山科学研究所で「噴火の被害と対策」というテーマの講義を受けました。この施設では、富士山に様々な角度から光を当て、世界共有の財産として「守り」「活かす」ための方策を科学的に追求し、その成果を発信しています。講義では、地球内部の組成や噴火の仕組みやマグマや噴火の種類、世界における日本の火山について学びました。さらに、富士山の中に特徴の異なる岩石が見られることから富士山が複数の火山によって成り立っていることや、多様な災害の可能性があってそれぞれの危険を知ることの重要性についても学ぶことができました。塾生一人ひとりが講義での言葉を逃さぬように聞き、講義後に質問をする塾生もいました。また、施設では実際に触れられる岩石の展示や飛び跳ねて衝撃を加えることでその動かし方を学べる地震計の展示などがあり、火山や火山活動の調査の仕方について塾生自身が体験して学ぶこともできました。
 講義の中で、噴火の被害についてのお話の際に「知っていれば予防できる」という言葉がありました。噴火の際にどのようなことが起こる可能性があるのか、知ることが自分自身を守ることになると再認識しました。講義や施設での学びは、課題図書からの減災や防災についての学びを自分自身で体験する機会となりました。噴火における減災や防災、専門家と一般市民を繋ぐアウトリーチについて探究をしているグループにとって、探究の方向を定めるきっかけとなりました。

忍野八海
 忍野(おしの)八海は富士山の伏流水を水源とする湧水池で、富士信仰の霊場や禊ぎの場であったことから、富士山の信仰や文化を伝える世界遺産の構成資産の一つとなっています。それぞれに特徴や伝説がある湧水地を巡ると富士山の神秘や魅力を感じることができると思っていましたが、観光客の多さに驚き、オーバーツーリズムの問題が生じていることを実感しました。

東口本宮冨士浅間神社
 世界文化遺産富士山の構成要素には7箇所の浅間(せんげん)神社が含まれています。今回はその一つである東口本宮冨士浅間神社を訪れました。浅間神社は富士山を信仰する神社で、富士山の権現である木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)が祭神となっています。江戸から訪れる参拝者は神社のある須走口を富士山巡拝の起点とし、山行祈願を行っていました。境内には重さ約1トンの火山弾(噴火の際に軟らかい状態で空中へ放たれたマグマの破片が、落下中に冷却したもの)に紙垂(しで)がつけられ、祀られていました。富士山が信仰の対象として世界文化遺産に登録された意味を垣間見たように感じました。

鮎壺の滝
 フィールドエクスカーションの最後に富士山頂から約30km 離れた市街地にある鮎壺の滝を訪れました。鮎壺の滝は約1万年前の富士山噴火で流れ下った三島溶岩と呼ばれる溶岩の南西端にあたります。滝が正面から見えるつり橋では、三島溶岩の断面とそこを落ちる何本もの滝を観察しました。巨大な滝が形作られるほどの溶岩が現在の市街地にあたる地域にまで流れてきていたことに驚き、その恩恵が強調される富士山の荒々しく恐ろしい一面を垣間見た気分でした。また同時に、このように大量の溶岩が流れてきた過去があっても人間はまたその土地に戻ってきて生活していることから、私たちは噴火の恐怖を超えるほどの底知れない火山の魅力と恵みを享受しているのだと感じました。

フィールドエクスカーションの意義
今回のエクスカーションでは、富士山山麓の世界遺産構成資産の一部や噴火の痕跡が残る場所を巡りました。富士山の世界遺産としての文化的価値を知ると共に火山災害の怖さや被害を抑えるための対策について学び、課題図書やそれぞれの参考図書に対する理解を深めることができたと思います。
また、エクスカーションの初めに林田先生より「読書から始まる知の探究」というプログラムでフィールドエクスカーションに行く意味について“One minute, don’t read, don’t talk, no photos, just look and see...” という「標語」を紹介していただきました。本でも富士山の成り立ちや社会的・文化的意義について知識として学ぶことはできます。しかし、今回の活動で実際に訪れて見ることで、なぜ人々は富士山に芸術的価値や神秘性を感じたのか、過去の噴火の様子が現在どのように残っているのか、文字や写真だけでは理解できない点を実感することができ、その点で今回訪れた意味があった''と思います。

次回のセッションに向けて
次回の活動は、7月13日(木)に行われる報告会に向けて各々のグループで発表準備を行います。グループワークでは、今回のフィールドエクスカーションで第1回目、第2回目の学習や今回のフィールドエクスカーションを通して得た学びに加え、それぞれの参考図書を基に、自然と人間の関係や自然科学の成果を未来に生かすための方法についての探究や議論を進めることが期待されます。有意義な報告会にするために、これまでの活動で得た学びを整理し、それぞれで準備を進めます。
今回のNewsは、以下の塾生が中心となって作成しました。
新島塾4期生 大倉さん(神学部)
新島塾5期生 巽 さん(社会学部)
新島塾4期生 平山さん(法学部)
新島塾4期生 武田さん(法学部)
新島塾5期生 宮本さん(法学部)
新島塾4期生 谷口さん(経済学部)
新島塾5期生 角名さん(経済学部)
(事務局・高等研究教育院事務室)
富士山センター

宿泊先から見た富士山

東口本宮冨士浅間神社

東口本宮冨士浅間神社

東口本宮冨士浅間神社

東口本宮冨士浅間神社

東口本宮冨士浅間神社

東口本宮冨士浅間神社に祀られている火山弾

鮎壷の滝

鮎壷の滝

鮎壷の滝

鮎壷の滝のすぐ横にマンションが建っている

新島塾「読書から始まる知の探究」 林田先生 富士山麓エクスカーション_2日目

 5月20日(土)から5月21日(日)に富士山麓において、林田明教授(理工学部)による「読書からはじまる知の探究」セッションの一環でフィールドエクスカーション(野外巡検)を行いました。
第2日目の21日は、山梨県富士山科学研究所において講義を受けた後、忍野八海、冨士浅間神社、鮎壺の滝を巡りました。

山梨県富士山科学研究所での講義
 山梨県富士山科学研究所で「噴火の被害と対策」というテーマの講義を受けました。この施設では、富士山に様々な角度から光を当て、世界共有の財産として「守り」「活かす」ための方策を科学的に追求し、その成果を発信しています。講義では、地球内部の組成や噴火の仕組みやマグマや噴火の種類、世界における日本の火山について学びました。さらに、富士山の中に特徴の異なる岩石が見られることから富士山が複数の火山によって成り立っていることや、多様な災害の可能性があってそれぞれの危険を知ることの重要性についても学ぶことができました。塾生一人ひとりが講義での言葉を逃さぬように聞き、講義後に質問をする塾生もいました。また、施設では実際に触れられる岩石の展示や飛び跳ねて衝撃を加えることでその動かし方を学べる地震計の展示などがあり、火山や火山活動の調査の仕方について塾生自身が体験して学ぶこともできました。
 講義の中で、噴火の被害についてのお話の際に「知っていれば予防できる」という言葉がありました。噴火の際にどのようなことが起こる可能性があるのか、知ることが自分自身を守ることになると再認識しました。講義や施設での学びは、課題図書からの減災や防災についての学びを自分自身で体験する機会となりました。噴火における減災や防災、専門家と一般市民を繋ぐアウトリーチについて探究をしているグループにとって、探究の方向を定めるきっかけとなりました。

忍野八海
 忍野(おしの)八海は富士山の伏流水を水源とする湧水池で、富士信仰の霊場や禊ぎの場であったことから、富士山の信仰や文化を伝える世界遺産の構成資産の一つとなっています。それぞれに特徴や伝説がある湧水地を巡ると富士山の神秘や魅力を感じることができると思っていましたが、観光客の多さに驚き、オーバーツーリズムの問題が生じていることを実感しました。

東口本宮冨士浅間神社
 世界文化遺産富士山の構成要素には7箇所の浅間(せんげん)神社が含まれています。今回はその一つである東口本宮冨士浅間神社を訪れました。浅間神社は富士山を信仰する神社で、富士山の権現である木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)が祭神となっています。江戸から訪れる参拝者は神社のある須走口を富士山巡拝の起点とし、山行祈願を行っていました。境内には重さ約1トンの火山弾(噴火の際に軟らかい状態で空中へ放たれたマグマの破片が、落下中に冷却したもの)に紙垂(しで)がつけられ、祀られていました。富士山が信仰の対象として世界文化遺産に登録された意味を垣間見たように感じました。

鮎壺の滝
 フィールドエクスカーションの最後に富士山頂から約30km 離れた市街地にある鮎壺の滝を訪れました。鮎壺の滝は約1万年前の富士山噴火で流れ下った三島溶岩と呼ばれる溶岩の南西端にあたります。滝が正面から見えるつり橋では、三島溶岩の断面とそこを落ちる何本もの滝を観察しました。巨大な滝が形作られるほどの溶岩が現在の市街地にあたる地域にまで流れてきていたことに驚き、その恩恵が強調される富士山の荒々しく恐ろしい一面を垣間見た気分でした。また同時に、このように大量の溶岩が流れてきた過去があっても人間はまたその土地に戻ってきて生活していることから、私たちは噴火の恐怖を超えるほどの底知れない火山の魅力と恵みを享受しているのだと感じました。

フィールドエクスカーションの意義
今回のエクスカーションでは、富士山山麓の世界遺産構成資産の一部や噴火の痕跡が残る場所を巡りました。富士山の世界遺産としての文化的価値を知ると共に火山災害の怖さや被害を抑えるための対策について学び、課題図書やそれぞれの参考図書に対する理解を深めることができたと思います。
また、エクスカーションの初めに林田先生より「読書から始まる知の探究」というプログラムでフィールドエクスカーションに行く意味について“One minute, don’t read, don’t talk, no photos, just look and see...” という「標語」を紹介していただきました。本でも富士山の成り立ちや社会的・文化的意義について知識として学ぶことはできます。しかし、今回の活動で実際に訪れて見ることで、なぜ人々は富士山に芸術的価値や神秘性を感じたのか、過去の噴火の様子が現在どのように残っているのか、文字や写真だけでは理解できない点を実感することができ、その点で今回訪れた意味があった''と思います。

次回のセッションに向けて
次回の活動は、7月13日(木)に行われる報告会に向けて各々のグループで発表準備を行います。グループワークでは、今回のフィールドエクスカーションで第1回目、第2回目の学習や今回のフィールドエクスカーションを通して得た学びに加え、それぞれの参考図書を基に、自然と人間の関係や自然科学の成果を未来に生かすための方法についての探究や議論を進めることが期待されます。有意義な報告会にするために、これまでの活動で得た学びを整理し、それぞれで準備を進めます。
今回のNewsは、以下の塾生が中心となって作成しました。
新島塾4期生 大倉さん(神学部)
新島塾5期生 巽 さん(社会学部)
新島塾4期生 平山さん(法学部)
新島塾4期生 武田さん(法学部)
新島塾5期生 宮本さん(法学部)
新島塾4期生 谷口さん(経済学部)
新島塾5期生 角名さん(経済学部)
(事務局・高等研究教育院事務室)
お問い合わせ先
同志社大学新島塾(事務局 高等研究教育院事務室)
TEL:075-251-3259
FAX:075-251-3152
E-mail:ji-ktken@mail.doshisha.ac.jp
お問い合わせ一覧(部課所在・事務取扱時間案内)