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【新島塾】「読書から始まる知の探究」 林田先生 富士山麓エクスカーション1

'23年7月4日 更新

新島塾「読書から始まる知の探究」 林田先生 富士山麓エクスカーション_1日目

 5月20日(土)から5月21日(日)に富士山麓において、林田明教授(理工学部)による「読書からはじまる知の探究」セッションの一環でフィールドエクスカーション(野外巡検)を行いました。本セッションは「火山と生きるー自然の恵みと災い」をテーマとしています。20日は、静岡県富士山世界遺産センター、白糸の滝、西湖こうもり穴、富士青木ヶ原溶岩を巡り、夜にはグループワークを行いました。21日は、山梨県富士山科学研究所において講義を受け、忍野八海、冨士浅間神社、鮎壺の滝を巡りました。2日間を通して、富士山がどのように成立したのか、社会的・文化的にどのような意義や影響を与えたのか、さらに噴火による災害の可能性や防災について学ぶことができました。
 以下に訪問地点の概要と私たちの感想を述べ、まとめとしてエクスカーションの意義と今後の活動の展望を示します。

静岡県富士山世界遺産センター
 静岡県富士山世界遺産センターは、世界文化遺産に登録された富士山の文化的価値を伝えるとともに、「保護し、保存し、整備し及び将来の世代へ伝えることを確保する」拠点施設と学術調査機能を併せ持つ施設です。ここでは、タイムラプス映像や、歴史や文学などの分野ごとに分かれた展示をみることができました。富士山は昔から信仰・文学の対象であったことを知り、セッションのテーマでもある自然と人間の文化の繋がりの具体例であると感じました。センターで得た知識をもとに、実際に富士山を見てみると、より壮大で畏れ多く感じました。

白糸の滝
 白糸の滝では、火山噴火で流れ出た溶岩によって形成されたと特徴的な形態を見ることができました。白糸の滝近くには音無の滝もあり、その形態を比較することで白糸の滝の特徴が際立ちます。音止の滝は、本流一筋で流れる通常の滝の姿をしており、多くの人が思い浮かべる滝のイメージとさほど相違ありません。一方で、白糸の滝は、本流一筋で流れる通常の滝と異なり、湾曲して広がる岩壁の全面に大小数百もの滝が流れ落ち、その名の通り幾筋もの白い絹糸を垂らしたような姿が特徴的でした。この形態は、滝の流れる岩壁の特徴の異なる二層構造により形成されています。岩壁上部の玄武岩溶岩は、発泡し水分などが抜けたことでできる孔とひびが入ることで水を通しやすく、下部は、細粒の砂や泥が混じった古富士火山の泥流により水を通しにくくなっており、この二層の境から岩に染み込んだ雨水や富士山の雪解け水が流れ出ることで岩壁全面から滝が湧き出ています。また、白糸の滝は富士山信仰の巡礼・修行の場としても知られ、富士山の噴火からできた神秘的な光景を見て学んだことで、なぜここに巡礼・修行のために訪れるのか理解するためのヒントを得たような気がしました。

西湖こうもり穴・青木ヶ原溶岩の溶岩樹型
 西湖こうもり穴は、貞観6〜7年(西暦864~866年)の貞観噴火で流出した青木ヶ原溶岩にある溶岩トンネルです。青木ヶ原溶岩の上に広がる原生林は青木ヶ原樹海と呼ばれています。青木ヶ原樹海では、溶岩に鉄が含まれており方位磁石が使えないところもあるため道に迷いやすいという話を聞いたことがありますが、実際は溶岩の磁化は磁石の向きを変えるほど強くはなく、むしろどこにいても景色が変わらず木が高くて周りが見えづらいことが遭難しやすい理由だろうという説明を受けました。西湖こうもり穴の洞内は足場が悪く、洞窟が狭いためスムーズに進むことは困難でしたが、富士山の噴火により洞窟の内面にできた溶岩の様子を見ることができました。
 青木ヶ原溶岩については,かつて石材として溶岩が採掘されていた採石場の跡地に造られたジラゴンノ運動場(“ジラゴンノ”はこの辺りの地名)でも、その断面を観察しました。ここには「青木ヶ原溶岩スパイラクル群」という看板が立てられていて,高温の溶岩が湿地に流れ込み、水蒸気爆発によって溶岩にパイプ状の穴が生じたと説明されています。ただし最近の研究では,溶岩に取り込まれた樹木の跡(溶岩樹型)が変形したものとされていて,固化した溶岩流が膨張したことを示すと考えられているそうです。
 西湖こうもり穴や青木ヶ原溶岩の断面には火山噴火の痕跡が強く残り、その影響の大きさや恐ろしさを感じると共に、自然現象の奇妙さを覚えました。

人材開発センター富士研究所でのグループワーク
 宿泊先到着後は、グループごとに分かれ、実際に現地で見たことや考えたことを整理し、第4回目に行われるグループごとの発表と総括のディスカッションに向けた準備を行いました。あるグループでは各班員が参考図書の中で印象に残った箇所を発表し、火山活動に伴う風評被害の防止策や火山と共生するための方策について議論を交わしました。また、各グループ内で完結するのではなく、他グループとも積極的に意見を交換する姿が見られました。様々な考えや意見に触れることで、グループ内でまとまった考えを新たな視点から再び熟考でき、より深層部まで議論を交わすことができました。

今回のNewsは、以下の塾生が中心となって作成しました。
新島塾4期生 大倉さん(神学部)
新島塾5期生 巽 さん(社会学部)
新島塾4期生 平山さん(法学部)
新島塾4期生 武田さん(法学部)
新島塾5期生 宮本さん(法学部)
新島塾4期生 谷口さん(経済学部)
新島塾5期生 角名さん(経済学部)
(事務局・高等研究教育院事務室)
富士山センター

静岡県富士山世界遺産センター

静岡県富士山世界遺産センター

静岡県富士山世界遺産センター内で説明を受ける様子

たき

白糸の滝

樹海

青木ヶ原樹海~西湖こうもり穴

こうもり穴

西湖こうもり穴内部

スパイラクル

青木ヶ原溶岩スパイラクル群

グループワーク1

グループワーク1

グループワーク2

グループワーク2

グループワーク3

グループワーク3

グループワーク4

グループワーク4

新島塾「読書から始まる知の探究」 林田先生 富士山麓エクスカーション_1日目

 5月20日(土)から5月21日(日)に富士山麓において、林田明教授(理工学部)による「読書からはじまる知の探究」セッションの一環でフィールドエクスカーション(野外巡検)を行いました。本セッションは「火山と生きるー自然の恵みと災い」をテーマとしています。20日は、静岡県富士山世界遺産センター、白糸の滝、西湖こうもり穴、富士青木ヶ原溶岩を巡り、夜にはグループワークを行いました。21日は、山梨県富士山科学研究所において講義を受け、忍野八海、冨士浅間神社、鮎壺の滝を巡りました。2日間を通して、富士山がどのように成立したのか、社会的・文化的にどのような意義や影響を与えたのか、さらに噴火による災害の可能性や防災について学ぶことができました。
 以下に訪問地点の概要と私たちの感想を述べ、まとめとしてエクスカーションの意義と今後の活動の展望を示します。

静岡県富士山世界遺産センター
 静岡県富士山世界遺産センターは、世界文化遺産に登録された富士山の文化的価値を伝えるとともに、「保護し、保存し、整備し及び将来の世代へ伝えることを確保する」拠点施設と学術調査機能を併せ持つ施設です。ここでは、タイムラプス映像や、歴史や文学などの分野ごとに分かれた展示をみることができました。富士山は昔から信仰・文学の対象であったことを知り、セッションのテーマでもある自然と人間の文化の繋がりの具体例であると感じました。センターで得た知識をもとに、実際に富士山を見てみると、より壮大で畏れ多く感じました。

白糸の滝
 白糸の滝では、火山噴火で流れ出た溶岩によって形成されたと特徴的な形態を見ることができました。白糸の滝近くには音無の滝もあり、その形態を比較することで白糸の滝の特徴が際立ちます。音止の滝は、本流一筋で流れる通常の滝の姿をしており、多くの人が思い浮かべる滝のイメージとさほど相違ありません。一方で、白糸の滝は、本流一筋で流れる通常の滝と異なり、湾曲して広がる岩壁の全面に大小数百もの滝が流れ落ち、その名の通り幾筋もの白い絹糸を垂らしたような姿が特徴的でした。この形態は、滝の流れる岩壁の特徴の異なる二層構造により形成されています。岩壁上部の玄武岩溶岩は、発泡し水分などが抜けたことでできる孔とひびが入ることで水を通しやすく、下部は、細粒の砂や泥が混じった古富士火山の泥流により水を通しにくくなっており、この二層の境から岩に染み込んだ雨水や富士山の雪解け水が流れ出ることで岩壁全面から滝が湧き出ています。また、白糸の滝は富士山信仰の巡礼・修行の場としても知られ、富士山の噴火からできた神秘的な光景を見て学んだことで、なぜここに巡礼・修行のために訪れるのか理解するためのヒントを得たような気がしました。

西湖こうもり穴・青木ヶ原溶岩の溶岩樹型
 西湖こうもり穴は、貞観6〜7年(西暦864~866年)の貞観噴火で流出した青木ヶ原溶岩にある溶岩トンネルです。青木ヶ原溶岩の上に広がる原生林は青木ヶ原樹海と呼ばれています。青木ヶ原樹海では、溶岩に鉄が含まれており方位磁石が使えないところもあるため道に迷いやすいという話を聞いたことがありますが、実際は溶岩の磁化は磁石の向きを変えるほど強くはなく、むしろどこにいても景色が変わらず木が高くて周りが見えづらいことが遭難しやすい理由だろうという説明を受けました。西湖こうもり穴の洞内は足場が悪く、洞窟が狭いためスムーズに進むことは困難でしたが、富士山の噴火により洞窟の内面にできた溶岩の様子を見ることができました。
 青木ヶ原溶岩については,かつて石材として溶岩が採掘されていた採石場の跡地に造られたジラゴンノ運動場(“ジラゴンノ”はこの辺りの地名)でも、その断面を観察しました。ここには「青木ヶ原溶岩スパイラクル群」という看板が立てられていて,高温の溶岩が湿地に流れ込み、水蒸気爆発によって溶岩にパイプ状の穴が生じたと説明されています。ただし最近の研究では,溶岩に取り込まれた樹木の跡(溶岩樹型)が変形したものとされていて,固化した溶岩流が膨張したことを示すと考えられているそうです。
 西湖こうもり穴や青木ヶ原溶岩の断面には火山噴火の痕跡が強く残り、その影響の大きさや恐ろしさを感じると共に、自然現象の奇妙さを覚えました。

人材開発センター富士研究所でのグループワーク
 宿泊先到着後は、グループごとに分かれ、実際に現地で見たことや考えたことを整理し、第4回目に行われるグループごとの発表と総括のディスカッションに向けた準備を行いました。あるグループでは各班員が参考図書の中で印象に残った箇所を発表し、火山活動に伴う風評被害の防止策や火山と共生するための方策について議論を交わしました。また、各グループ内で完結するのではなく、他グループとも積極的に意見を交換する姿が見られました。様々な考えや意見に触れることで、グループ内でまとまった考えを新たな視点から再び熟考でき、より深層部まで議論を交わすことができました。

今回のNewsは、以下の塾生が中心となって作成しました。
新島塾4期生 大倉さん(神学部)
新島塾5期生 巽 さん(社会学部)
新島塾4期生 平山さん(法学部)
新島塾4期生 武田さん(法学部)
新島塾5期生 宮本さん(法学部)
新島塾4期生 谷口さん(経済学部)
新島塾5期生 角名さん(経済学部)
(事務局・高等研究教育院事務室)
お問い合わせ先
同志社大学新島塾(事務局 高等研究教育院事務室)
TEL:075-251-3259
FAX:075-251-3152
E-mail:ji-ktken@mail.doshisha.ac.jp
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