1. 学びのかたちの新展開(高等研究教育院)ホーム
  2. 2021年度のニュース一覧
  3. 【新島塾】読書から始まる知の探究 服部教授セッション 第4回活動-2

【新島塾】読書から始まる知の探究 服部教授セッション 第4回活動-2

'21年9月15日 更新
前回の記事からの続きです。
前回の記事はこちらから

3.講演「認知症にやさしい地域づくりへ-大牟田市の挑戦-」

 続いて、大牟田市認知症ライフサポート研究会 代表で小規模多機能型居宅介護 たかとりの家の管理者でもある梅﨑様に大牟田市の認知症ケアコミュニティ推進事業のこれまでとこれからについてお話しいただきました。
これまでに大牟田市の取組として学んだ、ほっと安心ネットワークや模擬訓練に関する写真や行方不明者の実際の捜索画面、協力体制図など貴重な資料を見せていただきました。なかでも、大牟田市の先進事例として有名な模擬訓練は、最初から現在の形ではなく10年以上の試行錯誤を重ねて少しずつ作り上げられたものであると改めて知る一方、いくら模擬訓練を重ねても、どうしても悲しい事故は無くならないという現実を知りました。「徘徊模擬訓練」という言葉を「ほっと安心SOSネットワーク模擬訓練」に改めたように、認知症の当事者も一緒になって考え、より良い形を模索し続けることが重要だと感じました。
 実際に高齢者に声を掛けるのは難しいですが「違ったら、ごめんね」と笑い合える関係を目指し、認知症であってなくても誰もが住み慣れた地域で安心して豊かに暮らし続けることができるまち。認知症「 に 」ではなく、認知症「 の人 」に焦点をあて、当事者、家族、地域が協働することで「地域で支える」まちから「地域で支え合う」まちづくりが、大牟田市の認知症ケアコミュニティ推進事業の目指すものだと分かりました。

4.講演「認知症と共に生きる-forからwithへ-」

 講演の最後は、大牟田市認知症ライフサポート研究会 副代表の猿渡様から、認知症の人がどうしたら地域で生活できるのか時系列的にお話しいただきました。
 模擬訓練は小学校区単位で行われているのですが、初回の参加者は7500人の校区人口に対しわずか9名、声掛け事例も1件だけでした。それが10年経った今では200名以上の参加があるなど、模擬訓練が浸透した結果、認知症の見守りや支え合いの力が地域で生まれています。講演では、福祉関係者以外の様々な業種と繋がった例として、商店街と高齢者施設の困りごと同志を結び付けたよかもん商店街の出張商店街が挙げられていて、松永様のインタビューに通ずるものがありました。
 また、認知症の啓発あり方について考えさせられる事例の紹介もありました。
「立ち上げ時から中心的な役割を担っていた方が認知症になった。引きこもって地域との接触を断絶した結果、孤独死されたという悲しい事例があった。地域で認知症の人を見守るということは、認知症になると一転して見守られる側の存在になるということ。模擬訓練による啓発の成果として、認知症の人を地域で支えるという面では成熟したが、逆に地域から支えられる存在にはなりたくないという意識が芽生えた。『認知症=絶対なりたくないもの』としてしまった反省もある。」というお話しは、これまでの事前学習では学べなかった点です。うまくいった面ばかりではなく負の側面もあるということを知りましたが、負の側面に目を背けて見ないようにするのではなく、その両面に目を向け、「誰のためか、何のためか」考えながら前に進めていくしかないという覚悟を感じました。

 この先は、認知症になっても働くことのできる社会の実現に向けて、取り組んでおられる3名の方にお越しいただき、「リレートーク」と銘打ってそれぞれの取組みをご紹介いただきました。

5.リレートーク 介護×認知症

 はじめに小規模多機能型居宅介護 てつお 管理者の浦様から、地元のテレビ局の取材映像を見せていただきました。足が強く、健脚が自慢の89歳の方が「仕事として」ダイレクトメールの配達や、デイサービス利用者が自動車販売会社で展示車両洗車の有償ボランティアを担っている事例を紹介いただきました。
浦様は「課題は多くあったが、挙げだしたらきりがない。やったことがないのだから、やらないと分からない。やりながら解消することにした。」と言われていました。簡単に言われましたが、迷子、紛失、誤配、交通事故・・・と不安はいくつもあり、重大な決断だったはずです。ダイレクトメールを配達されている方は、以前は年に数回行方不明になっていた人でしたが、今では地域のアイドル的存在になっていると聞き、「介護される立場の人であっても、誰かのサポートがあれば社会の役に立つことができる。本人の可能性を見つけて一緒に輝いていくこと」が重要で、環境づくりの面から人を支えていくのだという浦様の信念が伝わってきました。
 ご本人が「(会社から)辞めてくれと言われるまで続けたい、これは私の仕事だ。」と語る様子は生き生きとしていて、地域の中で自分の居場所・役割を見つけられたようでした。

(その3.へつづく)

(事務局・高等研究教育院事務室)
今回のNewsは、以下の塾生が主に作成しました。
新島塾第2期塾生 西澤さん(生命医科学部)
新島塾第2期塾生 小林さん(文化情報学部)
新島塾第3期塾生 山本さん(生命医科学部)
前回の記事からの続きです。
前回の記事はこちらから

3.講演「認知症にやさしい地域づくりへ-大牟田市の挑戦-」

 続いて、大牟田市認知症ライフサポート研究会 代表で小規模多機能型居宅介護 たかとりの家の管理者でもある梅﨑様に大牟田市の認知症ケアコミュニティ推進事業のこれまでとこれからについてお話しいただきました。
これまでに大牟田市の取組として学んだ、ほっと安心ネットワークや模擬訓練に関する写真や行方不明者の実際の捜索画面、協力体制図など貴重な資料を見せていただきました。なかでも、大牟田市の先進事例として有名な模擬訓練は、最初から現在の形ではなく10年以上の試行錯誤を重ねて少しずつ作り上げられたものであると改めて知る一方、いくら模擬訓練を重ねても、どうしても悲しい事故は無くならないという現実を知りました。「徘徊模擬訓練」という言葉を「ほっと安心SOSネットワーク模擬訓練」に改めたように、認知症の当事者も一緒になって考え、より良い形を模索し続けることが重要だと感じました。
 実際に高齢者に声を掛けるのは難しいですが「違ったら、ごめんね」と笑い合える関係を目指し、認知症であってなくても誰もが住み慣れた地域で安心して豊かに暮らし続けることができるまち。認知症「 に 」ではなく、認知症「 の人 」に焦点をあて、当事者、家族、地域が協働することで「地域で支える」まちから「地域で支え合う」まちづくりが、大牟田市の認知症ケアコミュニティ推進事業の目指すものだと分かりました。

4.講演「認知症と共に生きる-forからwithへ-」

 講演の最後は、大牟田市認知症ライフサポート研究会 副代表の猿渡様から、認知症の人がどうしたら地域で生活できるのか時系列的にお話しいただきました。
 模擬訓練は小学校区単位で行われているのですが、初回の参加者は7500人の校区人口に対しわずか9名、声掛け事例も1件だけでした。それが10年経った今では200名以上の参加があるなど、模擬訓練が浸透した結果、認知症の見守りや支え合いの力が地域で生まれています。講演では、福祉関係者以外の様々な業種と繋がった例として、商店街と高齢者施設の困りごと同志を結び付けたよかもん商店街の出張商店街が挙げられていて、松永様のインタビューに通ずるものがありました。
 また、認知症の啓発あり方について考えさせられる事例の紹介もありました。
「立ち上げ時から中心的な役割を担っていた方が認知症になった。引きこもって地域との接触を断絶した結果、孤独死されたという悲しい事例があった。地域で認知症の人を見守るということは、認知症になると一転して見守られる側の存在になるということ。模擬訓練による啓発の成果として、認知症の人を地域で支えるという面では成熟したが、逆に地域から支えられる存在にはなりたくないという意識が芽生えた。『認知症=絶対なりたくないもの』としてしまった反省もある。」というお話しは、これまでの事前学習では学べなかった点です。うまくいった面ばかりではなく負の側面もあるということを知りましたが、負の側面に目を背けて見ないようにするのではなく、その両面に目を向け、「誰のためか、何のためか」考えながら前に進めていくしかないという覚悟を感じました。

 この先は、認知症になっても働くことのできる社会の実現に向けて、取り組んでおられる3名の方にお越しいただき、「リレートーク」と銘打ってそれぞれの取組みをご紹介いただきました。

5.リレートーク 介護×認知症

 はじめに小規模多機能型居宅介護 てつお 管理者の浦様から、地元のテレビ局の取材映像を見せていただきました。足が強く、健脚が自慢の89歳の方が「仕事として」ダイレクトメールの配達や、デイサービス利用者が自動車販売会社で展示車両洗車の有償ボランティアを担っている事例を紹介いただきました。
浦様は「課題は多くあったが、挙げだしたらきりがない。やったことがないのだから、やらないと分からない。やりながら解消することにした。」と言われていました。簡単に言われましたが、迷子、紛失、誤配、交通事故・・・と不安はいくつもあり、重大な決断だったはずです。ダイレクトメールを配達されている方は、以前は年に数回行方不明になっていた人でしたが、今では地域のアイドル的存在になっていると聞き、「介護される立場の人であっても、誰かのサポートがあれば社会の役に立つことができる。本人の可能性を見つけて一緒に輝いていくこと」が重要で、環境づくりの面から人を支えていくのだという浦様の信念が伝わってきました。
 ご本人が「(会社から)辞めてくれと言われるまで続けたい、これは私の仕事だ。」と語る様子は生き生きとしていて、地域の中で自分の居場所・役割を見つけられたようでした。

(その3.へつづく)

(事務局・高等研究教育院事務室)
今回のNewsは、以下の塾生が主に作成しました。
新島塾第2期塾生 西澤さん(生命医科学部)
新島塾第2期塾生 小林さん(文化情報学部)
新島塾第3期塾生 山本さん(生命医科学部)
関連情報
お問い合わせ先
同志社大学新島塾(事務局 高等研究教育院事務室)
TEL:075-251-3259
FAX:075-251-3152
E-mail:ji-ktken@mail.doshisha.ac.jp
お問い合わせ一覧(部課所在・事務取扱時間案内)